こんにちは。
スタートプログラミング代表の佐々木です。
2016年に広島市南区出汐でスタートプログラミングを開校して早3年が経ちました。
開校当時、県内にはまだプログラミング教室がほとんどなく、子供向けのプログラミング教室というカテゴリにおいては、当校も黎明期から教育を続けている教室の一つとなりました。
これまでの3年間、生徒達にプログラミングを指導してきたことで、私なりに腹落ちし教室・教育の方向性をはっきりと決めることができましたので、これからプログラミング教室に通うことを検討している親御様の検討材料として、また当校に通ってくださっている生徒や保護者のみなさん、生徒達に指導を行ってくれているメンターの方達に、私が考えるプログラミング教育のあり方や当校の教育理念など考え方をお伝えする目的で、これから定期的にコラムとして情報を発信していこうと考えています。
その記念すべき第一弾のコラムは「小学生はプログラミングを学ぶべきなのか?」をテーマに私の考えをお伝えします。
プログラミング教育が注目されている理由
スタートプログラミングは2016年に開校しましたが、当時は黎明期だったこともあり、現在に比べて子供向けプログラミング教育自体の認知が全くと言っていいほどありませんでした。
開校から3年経過した現在では、広島県に子供向けのプログラミング教室・ロボット教室が全部で178教室(2019年11月10日現在。コエテコ 調べ)あるそうです。
2016年に当校が開校した際は広島県内に3教室ぐらいでしたので、3年間で約60倍に増えています。
また、子供向けプログラミング教育ビジネスの盛り上がりをうけて、子供向けのプログラミング検定「ジュニア・プログラミング検定 」という資格検定も始まりました。
さらに、この検定の合格者には入試優遇措置をする中学校まで出てきています。
そんな流れの中でおかげさまで当校も毎年倍以上のペースで生徒が増え、現在は100名以上の生徒が通う教室にまでになりました。
1教室目は広島市南区出汐で開校しましたが、現在は広島市中区紙屋町と広島市安佐南区大塚西、あと呉市内にも開校を計画中です。
生徒の中にはあっという間にカリキュラムをクリアし高校生と一緒にiPhoneアプリの開発をする小学生や、ジュニア・プログラミング検定の最上位資格で満点を取る生徒も現れています。
たくさんの生徒の成長を見ることで、日々教室を立ち上げてよかったなぁと実感しています。
プログラミング教育の始まり
ところで、そもそもなぜ全国で子供へのプログラミング教育が始まったのかご存知ですか?
2020年から小学校にプログラミング教育が導入されることをご存知の方はたくさんいらっしゃると思いますが、実は学校導入が直接的な背景ではありません。
大手学習塾が運営するプログラミング教室のチラシなどには「2020年小学校必修化」と謳って教室へ集客しているところが多いと思いますが、あれは集客のキャッチコピーであって小学校で教育が始まることは直接的に関係なく、国内では2010年ぐらいから子供向けのプログラミング教育が注目されてきました。
実は子供向けプログラミング教育の背景には、IT人材の不足があります。
経済産業省の調べでは、近年の旺盛なIT投資によってIT人材採用ニーズは増加する一方、少子高齢化により2019年をピークに産業人口が減少することで、相対的にIT人材の不足数が拡大し、2030年には50万人以上のIT人材が不足すると発表されています。
その結果、近い将来日本ではIT人材供給力の不足による国力低下が見通されており、その対策として2020年から学校で学習指導要領に組み込む方針が決定したという背景があります。
具体的に求められるIT人材とは、情報セキュリティ、IoT、ロボット、人工知能など先端ITを中心とした技術を有し活用を担う人材で、これを育てるためにもまずは子供達にプログラミングを教育し国を挙げてIT人材を増やしていこうという流れとなりました。
プログラミングを通じて子供達に何を教育すべきなのか?
ほとんどの方は先端IT人材でもなければプログラミング経験者でもないため、ご自身が経験されたことのないプログラミングスキルを身につけることで、子供がどんな成長をするのかがイメージできないことと思います。
多くのプログラミング教室では、プログラミングを学ぶことで「論理的思考力が身につく」「創造力が豊かになる」「好奇心旺盛になる」「問題解決能力が向上する」などの抽象的なメッセージを発信しています。
これ自体は間違ったことではなく、当校でも保護者様にプログラミング教育をわかりやすく説明するために似たようなメッセージを用いてご説明しています。
しかし、私はこのメッセージがプログラミング教育の完全な正しい理解だとは思っていません。
学校教育では「知る・わかる」が重要で、理解させるために教えているのだと思います。
一方、プログラミング教育では「行う・出来る」が重要で、まずは実践してみることを教えます。
プログラミング教育は学校教育と違い、まずは「やってみる」。あとで理屈を学び「出来る」ようになるというアプローチで指導を行います。
最初に理屈を学んでその後で回答を考えるという学校教育のプロセスとは真逆の発想で、「動いた」という感動や「出来た」という実績が自信やスキルにつながっていきます。
実践することから始めるため失敗することが前提で、トライ&エラーを繰り返し、試行錯誤する中で、粘り強さや、やるきる力も身についていきます。
(体育や美術など「行う・出来る」ような教育ももちろんあるとは思います)
ここで一つ思い出してください。
例えば「因数分解」を勉強したという人で、社会人になってからも毎日「因数分解」を使っているという人はいますか?
みなさんご存知の「いい国つくろう鎌倉幕府」、これを毎日「知っててよかった!」みたいなシーンもないですよね?
学校教育を否定するつもりは全くありませんが、先に述べたプログラミング教育の正しい理解という点において、抽象的な「論理的思考力が身につく」や「問題解決能力が向上する」というメッセージを、プログラミングに触れたことの無い方は学校教育的な「知る・わかる」と理解してしまいそうですが、私はプログラミング教育は、最終的に学んだことが社会で活躍できるスキルとして役に立たないと本質的には意味がないと考えています。
教室によっては分厚いテキスト(細かいカリキュラム)をただひたすらなぞっていき、暗記するだけのプログラミング教室もあるようですが、それでは本質的な学習はできないと思いますので、そういった教室に通っている場合はもっと実践する教室を選択された方が良いと思います。
プログラミングを学ぶベネフィット
プログラミングを学ぶ(実践する)ことで、粘り強さ、やるきる力が身につき、論理的思考力や問題解決能力が向上すると述べました。
その他にも、以下のようなベネフィットがあります。
- ITに強くなる(タイピング・パソコン使用方法の理解)
- 創作意欲を育み、表現力を養う
- 新しいスキルを学びたいという好奇心をかき立てモチベーションが上がる
- 問題解決を通じて自主的に学ぶ(調査)姿勢が身に付く
- 問題解決を通じて自信につながる
- プログラムを英語で書くので自然と英語に抵抗がなくなる
上記以外にも間接的に子供の成長を促す要素はたくさんあると思います。
プログラミング教室へ通う必要性
2020年から学習指導要領にプログラミング教育が導入されますが、このことがプログラミング教室・ロボット教室が増えている大きな要因の一つだと考えて間違いありません。
多くの教室にて集客コピーとして謳っている「2020年小学校必修化」は、学校で導入されることを見据えてプログラミング教室で事前学習し成績アップのために通うことを想像させます。
しかし、そもそも「知る・わかる」を教えてきた学校教育と、「行う・出来る」を教えるプログラミング教育とでは考え方が異なるため、私は学校教育のためにプログラミング教室に通う必要はないのかなと思っています。
では、プログラミング教室へ通う必要性とはなんなのでしょうか?
先ほどプログラミングを学ぶベネフィットを述べましたが、これ自体はプログラミング教育でなければ身に付かないものではありません。
ですので、お子様の「ITへの強い興味」や親御様の「将来活躍できる人材になって欲しい」という想いがあればプログラミング教室に通うことを検討すればよいのではないでしょうか。
今の子供達が社会人になる2030年には50万人以上の先進ITの人材が不足することがわかっていますので、先進ITスキルを身につけておくことで間違いなく重宝される人材になれると思います。
スタートプログラミングの教育方針
上記までの説明の通り、プログラミングを学ぶ多くのベネフィットはプログラミング教育でなくても代替できるため、私はプログラミングを学ぶ本質を「最終的に社会で活躍できるIT人材になること」であるという結論に至りました。
ですので、当校では教室運営のミッションを将来活躍できるIT人材の育成としており、小学生のうちから実践的で本格的なカリキュラムに取り組めるように指導を進めています。
完璧な指導ができているかというとまだまだ至らない点はたくさんありますが、楽しく意欲的に興味をもち続けてもらうための工夫もしながら、出来るだけ生徒一人一人を細かく見てあげる(個別指導)ことや、生徒がしたいこと・学びたいこと・将来の夢をヒアリングして、本人の夢に沿った将来活躍出来るIT人材になれるための個別カリキュラムを考えるということに取り組んでいます。
スタートプログラミングに通う子供達の特徴
スタートプログラミングでは「将来活躍できるIT人材の育成」をミッションにしていますが、もちろん全ての生徒が明確にそのような目標や夢を持っているわけではありません。
むしろそのような目標や夢を持った生徒の方が少ないと思います。
ただ、プログラミングに出会ったことで景色が変わり、自分にも具体的に何かできるのではないかと考え、人生が変わったかもしれない生徒はたくさんいるのも事実です。
生徒たちにインタビューした記事がいくつかありますので、是非ご覧ください。
プログラミング教室を選ぶ基準
広島県にはプログラミング教室やロボット教室が178教室もありますので、きっとお住まいのエリアにも教室があると思います。
では、その中でもどのようなプログラミング教室を選べばよいのでしょうか?
私の考える「社会で活躍できるIT人材の育成」を実践している教室のポイントとしては以下だと思います。
- (マスト)テキストに沿って学習するのではなく、あくまでも実践形式の教育を実施している教室
- (マスト)Scratch(スクラッチ)やロボット教材などのビジュアル言語だけではないそれ以外のカリキュラムがある教室
- (マスト)JavaScriptやiOS/Android、Unityなどプロのエンジニアが実務で利用する環境を学習カリキュラムに取り入れてある教室
- (ベター)実務経験のある指導者(メンター)がいるスクール
- (ベター)一斉授業ではなく子供の夢や希望に合わせた指導方法やカリキュラムを用意する教室
逆にScratch(スクラッチ)やロボット教材などのビジュアル言語のみで、画一カリキュラムでプログラミングに触れて楽しく学ぼうという方針の教室もたくさんあります。
これは大手学習塾などが運営するプログラミング教室・ロボット教室に多くみられ、フランチャイズ展開する事業者からのカリキュラムを契約して利用しているケースが特徴です。
もちろんこちらでもプログラミングを学ぶことでベネフィットは得られるとは思いますし、プログラミングの概念を学ぶには非常によいツールだと思いますが、学校教育をターゲットとせず社会で活躍できるスキルを身につけるという点において、真剣に「社会で活躍できるIT人材を目指したい」という場合は、上記にあげた基準でプログラミング教室を選ぶべきだと思います。
終わりに
長くなりましたが、「プログラミング教育が注目されている理由」「プログラミングを通じて子供達に何を教育すべきなのか?」「プログラミング教室へ通う必要性」「プログラミング教室を選ぶ基準」について、私の意見をまとめてみました。
いかがでしたでしょうか?
世の中には習い事が溢れていますが、プロ野球選手、サッカー選手、ゴルフ選手、ダンサーやピアニストなど、習い事を職業にすることは非常に狭き門でした。
一方、プログラミング教育はそれ自体をスキルとして身に付け、将来の自分の武器にできる素晴らしい教育だと思っています。
タイトルの「プログラミングは小学生のうちから学ぶべきなのか?」の結論としては、プログラミング教育を受けることで学校教育に左右されず将来活躍できるIT人材になれることを考えると、私は早ければ早いほど良いと考えています。
このコラムを最後までお読みになった方は、是非お近くの教室に足を運び体験授業などを受講されてみてくださいね。