2020年に小学校でのプログラミング教育が必修化され、およそ3年が経とうとしています。
しかし、いざ自分の子供が小学校に入学するとなると、
「プログラミングの授業では結局何をするのか、どのような内容なのか?」
具体的に理解できていないという保護者様も多いのではないでしょうか。
この記事では、
- 小学校でのプログラミング教育の狙い、具体的な授業内容
- 習い事でプログラミングスクールに通う必要性
を中心に、広島で小学生向けプログラミングスクールを運営している専門家が、分かりやすく解説していきます。
プログラミング教育の必修化とは
日本の小学校、中学校、高等学校で指導する内容は、文部科学省が「学習指導要領」で定めています。
プログラミング教育の必修化とは、この改訂の一環として、プログラミングが導入されたことが始まりです。
2020年度からは小学校で、2021年度からは中学校での必修化がおこなわれました。
また、2023年度から高等学校情報科に共通必履修科目「情報I」と選択科目「情報II」が新設され、2024年度から大学入学共通テストにおける試験科目として「情報」が加わることも発表されています。
これにより、小学校から高等学校までプログラミング教育がますます拡充されていくことが予想されます。
小学校におけるプログラミング教育の狙いとは
小学校プログラミング教育の手引(第三版)では、プログラミング教育の狙いについて下記のように述べられています。
1.「プログラミング的思考」を育むこと
2.
・プログラムの働きやよさ、情報社会がコンピュータ等の情報技術によって支えられていることなどに気付く
・コンピュータ等を上手に活用して身近な問題を解決したり、よりよい社会を築いたりしようとする態度を育むこと3.各教科等の内容を指導する中で実施する場合には、各教科等での学びをより確実なものとする
つまり、小学校でのプログラミング教育は、プログラミング言語やプログラミングの技能習得自体を狙いとしているのではありません。
身近な生活の中でプログラムを通して、動いているコンピュータに対して「気づき」を持つことを重視していると言えるでしょう。
小学校におけるプログラミング授業の内容とは?
では、具体的に小学校では何年生から、どのようなプログラミング授業をおこなうのでしょうか。
実はプログラミング授業には、明確に何年生から実施するといった決まりはありません。
多様な教科・学年・単元などにおいて取り入れることができ、各学校において工夫して多様な場面での授業をすることが求められています。
ただし全ての内容を学校まかせという訳ではもちろんなく、小学校プログラミング教育の手引きでは、教育課程内で実施されるAからDの指導例が示されています。
引用:小学校プログラミング教育の手引(第三版)より
例えば、学習指導要領に例示されている教科の中で、プログラミングをおこなう場合(分類A)では、以下のような授業が想定されます。
A-① プログラミングを通して、正多角形の意味を基に正多角形をかく場面(算数 第5学年)
(例)「辺の長さが全て等しく、角の大きさが全て等しい」という正多角形の意味を用いて正多角形を作図するといった課題を設定し、定規と分度器を用いた作図とプログラミングによる作図の双方を試みるなど。
A-② 身の回りには電気の性質や働きを利用した道具があること等をプログラミングを通して学習する場面(理科 第6学年)
(例)日中に光電池でコンデンサに蓄えた電気を夜間の照明に活用する際に、どのような条件で点灯させれば電気を効率よく使えるかといった問題について、児童の考えを検証するための装置と通電を制御するプログラムとを作成し実験するなど。
A-③ 「情報化の進展と生活や社会の変化」を探究課題として学習する場面
(総合的な学習の時間)
(例)自動販売機はどのような手順で動作しているのか、それを再現するには命令(記号)をどのように組み合わせればよいかを考えるなど。
引用:小学校プログラミング教育の手引(第三版)より
これらの授業では、各教科(算数・理科など)としての学びと、プログラミング思考に対する学びが両方あり、学びをより確実なものとする意図があります。
では、プログラミングを主にした授業がないのか、と言うとそうではありません。
各教科でおこなう授業とは別に(分類C)の時間として、プログラミングとはそもそも何かを理解したり、簡単なプログラムを体験するといった、プログラミングに慣れる活動もおこなわれることでしょう。
プログラミングを体験したことがない児童が、突然算数の時間でプログラミングに触れることがないように、各校で柔軟にカリキュラムが組まれます。
ここまでの内容をまとめると、小学校でのプログラミング教育は
- プログラミング的思考を育むこと
- プログラムの働きやよさ、情報社会がコンピュータ等の情報技術によって支えられていることなどに気付くこと
- 各教科における学びをより確実にすること
を目的にしていることがお分かりいただけたでしょうか。
習い事でプログラミングスクールに通う必要性
では、ここまで国を挙げてプログラミング教育が活性化されている今、プログラミングスクールに通う意義はどこにあるのでしょうか。
一般的には、プログラミングを学ぶ(実践する)ことで以下のような力が身につくと言われています。
- 粘り強さ、やるきる力が身につく
- 論理的思考力や問題解決能力が向上する
- ITに強くなる(タイピング・パソコン使用方法の理解)
- 創作意欲を育み、表現力を養われる
- 新しいスキルを学びたいという好奇心をかき立てモチベーションが上がる
- 問題解決を通じて自主的に学ぶ(調査)姿勢が身に付く
- 問題解決を通じて自信につながる
- プログラムを英語で書くので自然と英語に抵抗がなくなる
上記以外にも、間接的に子供の成長を促すメリットは多くあります。
ただし、これらはプログラミング教育でなければ身につかないものではなく、私はプログラミングを学ぶ本質は「最終的に社会で活躍できるIT人材になること」であると考えます。
もともと、小学校における学習指導要領にプログラミングが導入された背景としても、将来の日本におけるIT人材不足が大きく関係しています。
経済産業省の調べでは、IT人材採用ニーズは増加する一方、若年層の人口減少に伴い、相対的にIT人材の不足数が拡大し将来的に40~80万人の規模でIT人材が不足すると試算されています。
参考:https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/daiyoji_sangyo_skill/pdf/001_s03_00.pdf
具体的にこれから求められるIT人材とは、情報セキュリティ、ビッグデータ、IoT、ロボット、人工知能といった、先端ITを中心とした技術を有し活用を担う人材を指します。
プログラミング教育の必修化には、こういった人材を育てるために、まずは子供達にプログラミングを教育し国を挙げてIT人材を増やしていこうという背景があるのです。
ですので、お子様の「ITへの強い興味」や親御様の「将来活躍できる人材になって欲しい」という想いがあればプログラミング教室に通うことを検討することをおすすめします。
今の子供達が社会人になる2030年にはおよそ50万人の先進ITの人材が不足することが試算されているため、先進ITスキルを身につけておくことで間違いなく重宝される人材になれるでしょう。
まとめ
今回、小学校で必修化されたプログラミング教育は、多様な教科・学年・単元などにおいて取り入れることができ
- プログラミング的思考を育むこと
- プログラムの働きやよさ、情報社会がコンピュータ等の情報技術によって支えられていることなどに気付くこと
- 各教科における学びをより確実にすること
を目的にしていることや、具体的な授業例、プログラミングスクールに通う必要性などをご紹介しました。
弊社が運営しているスタートプログラミングでは「将来活躍できるIT人材の育成」をミッションにしていますが、もちろん全ての生徒が明確にそのような目標や夢を持っているわけではありません。
ですが「面白そう」「ゲームが好きだったから」といった小さなきっかけで入塾した後、初めてプログラミングに触れた時に、自分の中で世界が広がった感覚があったという生徒も多くいます。
生徒たちにインタビューした記事もいくつかありますので、興味がある方はぜひご覧ください。
http://54.249.51.244/student
記事内引用資料:https://www.mext.go.jp/content/20200218-mxt_jogai02-100003171_002.pdf